世界のスパイスティー文化 - インド、トルコ、モロッコのお茶事情
お茶は世界をつなぐ共通言語
世界各地には、その土地の気候や文化に根ざしたスパイスティーの伝統があります。スパイスの使い方、淹れ方、飲むシーンは異なりますが、温かい一杯を囲んで人と人がつながるという点は共通しています。
ここでは、5つの地域のスパイスティー文化をご紹介します。
1. インド — マサラチャイ
インドのマサラチャイは、世界で最も有名なスパイスティーです。アッサムCTC茶葉をベースに、シナモン、カルダモン、ジンジャー、クローブ、ブラックペッパーなどのスパイスを煮出し、たっぷりのミルクと砂糖で仕上げます。
インドでは年間10億杯以上のチャイが消費されるとも言われ、路上のチャイワーラー(チャイ売り)は街の風景に欠かせない存在です。地域によってスパイスの配合が大きく異なり、北インドでは生姜を多めに、南インドではカルダモンを重視するなど、多様なスタイルが共存しています。
チャイの歴史的な背景については、チャイの歴史で詳しく紹介しています。
2. トルコ — トルコチャイ(Cay)
トルコは世界有数の紅茶消費国であり、一人あたりの年間消費量は世界トップクラスです。トルコチャイは「チャイダンルック」と呼ばれる二段式のやかんで淹れるのが伝統的な方法です。
下段で湯を沸かし、上段で濃い紅茶を抽出。チューリップ型の小さなガラスカップに濃い紅茶を注ぎ、お湯で好みの濃さに調整します。スパイスは入れず、紅茶そのものの味を楽しむスタイルですが、角砂糖を添えるのが一般的です。
トルコでは、商談でも友人との語らいでも、まずチャイが出されます。チャイを断ることは、コミュニケーションの拒否を意味するほど、社会に深く根付いた文化です。
3. モロッコ — ミントティー
モロッコのミントティーは「モロッカンウイスキー」の愛称で知られる、北アフリカを代表するお茶文化です。中国産のガンパウダー緑茶にフレッシュミントの葉をたっぷり加え、大量の砂糖で甘く仕上げます。
高い位置からグラスに注ぐ「ハイポアリング」は、お茶に空気を含ませて泡立たせるための技法であり、おもてなしの演出でもあります。客人には3杯のお茶が振る舞われ、それぞれ異なる意味を持つとされています。
4. チベット — バターティー(ポーチャ)
チベット高原の過酷な環境で生まれたバターティーは、世界でも珍しいスタイルのお茶です。固形の磚茶(レンガ状の茶)を煮出し、ヤクのバターと塩を加えて、専用の筒で攪拌して作ります。
標高4000mを超える高地では、高カロリーで塩分を含むバターティーが重要な栄養源です。チベットの人々は一日に数十杯を飲むこともあり、来客時にカップが空になると自動的に注ぎ足されます。
5. 日本 — 新しいチャイ文化の芽生え
日本には独自の茶道文化がありますが、近年スパイスティーへの関心が急速に高まっています。カフェでのチャイラテの定着に始まり、自宅でスパイスからチャイを作る愛好家も増加中です。
ChaiHolicは、この日本のチャイ文化の発展に貢献しています。味覚診断では、和のスパイスや素材も含めた幅広い選択肢から、日本人の味覚に合ったブレンドを提案。スパイス図鑑では、20種類以上のスパイスについて味覚プロファイルを公開しています。
スパイスティーに共通する価値
国や文化は違っても、スパイスティーには「おもてなし」「語らい」「癒し」という共通の価値が宿っています。あなたも世界のスパイスティー文化にインスピレーションを得て、自分だけのチャイスタイルを見つけてみませんか。
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